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15.デジタル・フォレンジックス(各論)「iPhone」

2020.05.19

LXの深山です。

以前、スマートフォンに関するデジタル・フォレンジックスについて少し触れましたが、最近もiPhoneの復元に関する問い合わせを多くいただいているため、iPhoneについて解説したいと思います。iPhoneは言わずと知れた米国Apple社のスマートフォンですが、日本におけるメーカー別シェアでは常にトップ、OS別でもAndroid(日本のシャープ、中国のファーウェイ、韓国のサムスンなど多数)とiPhoneがほぼ半分ずつシェアを分け合っており、圧倒的なシェアを誇っています。実際、最新かつ廉価版のiPhone SE(2020バージョン)が発売されたことを受けた、「BCNランキング」2020年5月12日の日次集計データによると、スマートフォンの実売台数ランキングの上位をほぼiPhoneが独占しています。

企業向けに型落ちのiPhoneが大量に会社貸与端末として導入されたという背景もあり、私の経験上、不正調査においてデジタル・フォレンジックスの対象となるスマートフォンの78割はiPhoneではないかと思います。

このような状況の中、パソコンのデータのようにiPhoneのデータを復元できないかという問い合わせが多く寄せられます。iPhoneは元々Appleが開発・製造しているMacOSを土台として発展させた小型のコンピュータであるため、パソコンのようにデータの保全を実施することで復元が出来る可能性があります。ただし、データ保全にあたっては、パソコンのようにデータが格納されたHDDを容易に取り出せるわけではないため(※分解するとこのようなパーツで構成されています、端末の外からアクセスできるLightningポートから専用ソフトを使用してデータを抽出するか、PCまたはiCloudにバックアップされているデータを保全する必要があります。Lightningポートからデータを抽出する場合でも、現在までサポートされている比較的新しいiPhone(iOSのサポートが継続しているiPhone6S以降)は、物理的な完全データ取得(Physical Dump)が出来ないため、パソコンに対するデジタル・フォレンジックスと同様のレベルでのデータ取得はほぼ不可能です。

また、単にアプリ内の一部のデータを消しただけ(LINEのトークを消した、SMSのメールを消した等)であれば、アプリで利用しているSQLite形式のデータベース内のレコードの残骸が残っているため、復元が可能となります。これに対して、iPhoneを初期化してしまうと、全てのアプリとアプリ内のデータが消去され、消去されたデータは、iPhone内の電磁的記録媒体として利用されているフラッシュメモリの機能(ガベージコレクション、Trim機能など)で完全消去されてしまうため、データ復元はほぼ不可能となってしまいます。

結論として、iPhoneの場合、近年ではPCまたはiCloudに同期させている可能性があるので、バックアップの確認が重要です。会社がiPhoneを従業員に貸与している場合には、あらかじめ自動的にバックアップを取得する仕組みを導入しておくことも有用となります。