2020.06.18
- デジタル・フォレンジックス
18.デジタル・フォレンジックス(各論)「Android」
LXの深山です。
今回は、15.デジタル・フォレンジックス(各論)「iPhone」で解説したiPhoneに続き、スマートフォンの2大陣営であるAndroidに関するDFについて解説したいと思います。
Androidとは、スマートフォンなどのデジタルデバイスに搭載されているGoogle社製のOSのことですが、厳密にいうと当初はGoogle社製ではなく、「Android Inc.」社がタッチスクリーン操作のデジタルデバイス向けOSを開発していたものであり、2005年にGoogle社が買収し、今に至っています。その後、2007年11月にGoogle社を中心として「オープン・ハンドセット・アライアンス」が形成され、
「Androidオープンソースプロジェクト」として、現在もスマートフォンをはじめとしたデジタルデバイスのOSの開発が進んでいます。このOSは今や、スマートフォンやタブレット端末に限らず、デジタルテレビ、スマートスピーカー、デジカメ、PC、ゲーム機など非常に多くのデバイスに搭載されています。ただし、iPhoneとの比較のため、以降はスマートフォンについて解説します。
Androidの第一のとしては、何よりも多種多様なメーカーが参入していることです。近年のメーカーを見ると、日本のシャープ、富士通コネクテッドテクノロジーズ、ソニーモバイルコミュニケーションズ、京セラ、韓国のSAMSUNG、台湾のASUSやHTC、米国のGoogleやモトローラ、中国のHuawei、OPPO、ZTEなど多数あります。このことから、DF調査を実施する際には、メーカーごとの操作性や特徴を把握しておく必要があります。そのため、普段からなるべく多くの機種に触れておき、公式ホームページや専門家のコミュニティで情報収集をしておく必要があります。
第二の相違点としては、非常に多くのバージョンのOSが現役で利用されていることです。AppleのiPhoneは、新機種が出るたびに新しいOSのメジャーバージョンアップがリリースされ、現行機種のユーザは最新のOSにアップデートするよう促されます。また、数世代前の端末はアップデート対象から外されるため、買い替えを促されます。これはメーカーの思惑とともに、長らく続いていたキャリアの2年縛りも影響していると考えられます。そのため、iPhoneのiOSは比較的新しいバージョンに収斂される傾向があるのですが、Androidの場合は、メーカーによって多種多様な端末が発売され、OSと端末メーカーが分離されていることから、機種ごとにメジャーバージョンアップの対象から外されることが多く、端末の変更を伴ってまでバージョンアップをするインセンティブがない場合、 買い換えないユーザがそのまま残りやすく、かなりバラバラな分布となってしまいます。
具体的には、iOSは2020年1月27日時点(iOS分布参考記事)で、最新のVersion13が77%、次いでVersion12が約17%となっており、二つ合わせれば94%以上の端末に対応できることになります。これに対してAndroidは、2020年6月1日時点(Android分布参考記事)で最も多いのがAndroid8と8.1の合計で28.3%、次いでAndroid7と7.1の合計で19.2%、3番目がAndroid6で16.9%、4番目のAndroid9で10.4%、4種類合わせても74.8%しか対応できないことになります。OSのメジャーバージョンが異なると、操作性はもとよりバックアップツールの対応状況が大きく変わるので、DF調査に非常に影響があります。そのため、の特徴を掴んでおく必要があり、DF調査経験の長さも重要となります。例えば、私はAndroid2の時代からDF調査の仕事を続けているため、現行のAndroid10まではひと通り調査または操作した経験があるということになります。
iPhoneとAndroidに関するDF調査の共通点については次回解説したいと思います。
本記事の監修者
顧問 公認不正検査士 経営修士(MBA)・DCM修士 / Office Miyama代表
深山 治OSAMU MIYAMA
- 専門分野
- 会計・財務アドバイザリー, デジタル・フォレンジックス
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LXの深山です。
今回は、15.デジタル・フォレンジックス(各論)「iPhone」で解説したiPhoneに続き、スマートフォンの2大陣営であるAndroidに関するDFについて解説したいと思います。
Androidとは、スマートフォンなどのデジタルデバイスに搭載されているGoogle社製のOSのことですが、厳密にいうと当初はGoogle社製ではなく、「Android Inc.」社がタッチスクリーン操作のデジタルデバイス向けOSを開発していたものであり、2005年にGoogle社が買収し、今に至っています。その後、2007年11月にGoogle社を中心として「オープン・ハンドセット・アライアンス」が形成され、
「Androidオープンソースプロジェクト」として、現在もスマートフォンをはじめとしたデジタルデバイスのOSの開発が進んでいます。このOSは今や、スマートフォンやタブレット端末に限らず、デジタルテレビ、スマートスピーカー、デジカメ、PC、ゲーム機など非常に多くのデバイスに搭載されています。ただし、iPhoneとの比較のため、以降はスマートフォンについて解説します。
Androidの第一のとしては、何よりも多種多様なメーカーが参入していることです。近年のメーカーを見ると、日本のシャープ、富士通コネクテッドテクノロジーズ、ソニーモバイルコミュニケーションズ、京セラ、韓国のSAMSUNG、台湾のASUSやHTC、米国のGoogleやモトローラ、中国のHuawei、OPPO、ZTEなど多数あります。このことから、DF調査を実施する際には、メーカーごとの操作性や特徴を把握しておく必要があります。そのため、普段からなるべく多くの機種に触れておき、公式ホームページや専門家のコミュニティで情報収集をしておく必要があります。
第二の相違点としては、非常に多くのバージョンのOSが現役で利用されていることです。AppleのiPhoneは、新機種が出るたびに新しいOSのメジャーバージョンアップがリリースされ、現行機種のユーザは最新のOSにアップデートするよう促されます。また、数世代前の端末はアップデート対象から外されるため、買い替えを促されます。これはメーカーの思惑とともに、長らく続いていたキャリアの2年縛りも影響していると考えられます。そのため、iPhoneのiOSは比較的新しいバージョンに収斂される傾向があるのですが、Androidの場合は、メーカーによって多種多様な端末が発売され、OSと端末メーカーが分離されていることから、機種ごとにメジャーバージョンアップの対象から外されることが多く、端末の変更を伴ってまでバージョンアップをするインセンティブがない場合、 買い換えないユーザがそのまま残りやすく、かなりバラバラな分布となってしまいます。
具体的には、iOSは2020年1月27日時点(iOS分布参考記事)で、最新のVersion13が77%、次いでVersion12が約17%となっており、二つ合わせれば94%以上の端末に対応できることになります。これに対してAndroidは、2020年6月1日時点(Android分布参考記事)で最も多いのがAndroid8と8.1の合計で28.3%、次いでAndroid7と7.1の合計で19.2%、3番目がAndroid6で16.9%、4番目のAndroid9で10.4%、4種類合わせても74.8%しか対応できないことになります。OSのメジャーバージョンが異なると、操作性はもとよりバックアップツールの対応状況が大きく変わるので、DF調査に非常に影響があります。そのため、の特徴を掴んでおく必要があり、DF調査経験の長さも重要となります。例えば、私はAndroid2の時代からDF調査の仕事を続けているため、現行のAndroid10まではひと通り調査または操作した経験があるということになります。
iPhoneとAndroidに関するDF調査の共通点については次回解説したいと思います。
本記事の監修者
顧問 公認不正検査士 経営修士(MBA)・DCM修士 / Office Miyama代表
深山 治OSAMU MIYAMA
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